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2026年9月22日 更新8分で読めます

韓国のセルフ写真館の市場データ|売上2.4倍の裏で廃業は3.5倍

韓国のセルフ写真館を国税庁・韓国消費者院の公表データで見ると、即席写真館の売上は4年で2.4倍(1,344億→3,196億ウォン)、廃業は3.5倍でした。客単価8,693ウォン・月1.27回という利用実態と、同じ言葉で呼ばれる3つの業態の違い。韓国連載の第1回。

この記事の要点

  • 韓国の即席写真館の売上は2020年1,344億→2024年3,196億ウォンで4年で2.4倍。同じ期間に廃業は176件→611件で3.5倍(韓国国税庁)
  • 韓国語の「セルフ写真館」はフォトブース型・有人セルフ型・作家撮影型の3業態の総称。日本の部屋貸し型は「セルフスタジオ」と呼ばれることが多い
  • 客単価は8,693ウォン(約950円)、月1.27回。10代が最も頻繁に使う(韓国消費者院・500人調査)
  • 廃業増の背景として報じられているのは商圏への集中(130m圏内に5店舗など)。市場の成長と、個々の店が続くことは別

セルフ写真館の本場とされる韓国の市場を、韓国語の公的資料・現地メディア・各社の公式サイトから 調べ直しました。日本語で読める情報は「流行っている」「おしゃれ」という話に寄りがちなので、 ここでは公表された数字だけを並べます。

最初に押さえておきたいのは、韓国語の「셀프사진관(セルフ写真館)」が性格の違う3つの業態の総称になっていることです。 ここを分けないまま数字を並べると、話が噛み合わなくなります。

業態中身価格帯
①フォトブース型筐体を数台並べた無人店。人生四カット、フォトイズム、ハルフィルムなど4,000〜5,000원
②有人セルフ型個室でスタッフの案内を受け、自分でシャッターを切る予約制。オディティモードなど50,000〜60,000원
③作家撮影型写真家が撮るが、考え方はセルフ写真館寄り。シヒョナダなど54,000〜450,000원

日本で「セルフ写真館」と呼ばれている形——時間単位で個室を貸し、客が自分でカメラを操作する——は、 韓国ではむしろ「셀프스튜디오(セルフスタジオ)」「렌탈스튜디오(レンタルスタジオ)」と呼ばれることが多い業態です。

統計の範囲について

この記事で扱う国の統計の多くは、韓国の業種区分では「즉석사진 촬영기 운영업(即席写真撮影機運営業)」に属します。 名前のとおり主に①のフォトブース型の機械を指す区分で、②③や部屋貸し型が全部含まれるとは限りません。 時系列として最も確かなのでこれを使いますが、その限界を先に書いておきます。

※金額は韓国ウォンの原文表記のままとし、必要な箇所だけ1ウォン=0.11円で概算を添えています。

最も確度が高いのは、韓国国税庁の課税標準データです。2026年2月17日、国会議員室が国税庁から提出を受けた資料として、 韓国の複数の新聞が同じ数字を報じました。

売上(課税標準)円換算廃業件数
2020年1,344억원約148億円176건
2021年1,337억원約147億円195건
2022年2,471억원約272億円296건
2023年2,906억원約320億円514건
2024年3,196억원約352億円611건

出典:韓国国税庁(国会議員室への提出資料、2026年2月17日)。韓国経済新聞・デジタルタイムズ・ヘラルド経済・ソウル経済・イーデイリーが同一データを報道。

売上は4年で約2.4倍。同じ資料の廃業件数は176件から611件へ、約3.5倍です。 市場全体の売上が伸びている期間に、廃業の件数はそれより速く増えています。

同じ報道は、比較としてクレーンゲーム店(인형뽑기방)の数字も載せています。 売上は2020年460億ウォン(約51億円)から2024年1,241億ウォン(約137億円)へ伸び、 廃業は979件から506件へ減っていました。 若い世代向けの無人業態という点は同じでも、廃業の動きは逆向きです。

市場全体の数字とは別に、フォトブース型の最大手「인생네컷(人生四カット)」について報じられている数字です。

  • 加盟店数:2021年 239店 → 2022年 401店 → 2023年 383店 → 2025年時点 330店規模
  • 運営会社の売上:2022年 254億ウォン(約28億円)→ 2023年 225億ウォン → 2024年 190億ウォン台(約21億円)
  • 2024年の営業損失:47億ウォン(約5億2,000万円)

出典:ビズハンクック「무인사진관 시장」(2025年6月2日)

公正取引委員会に登録される情報公開書をもとにした同じ報道では、人生四カットの加盟店平均売上が 8,880万ウォン(約977万円)、開業費用が9,995万ウォン(約1,100万円)とされています。 ハルフィルムについては、加盟店平均売上が開業費用の4倍を超えるとあり、 ブランドによって数字の開きが大きいことも分かります。

同業の密度と、機材の中古相場

現地メディアが廃業の背景として挙げているのは、狭い商圏への同業の集中です。

  • ソウル・城水洞(성수동)では130m圏内に5店舗
  • 慶州の黄理団キル(황리단길)には無人写真館が16店舗
  • 弘大・城水などでは1エリアに30店舗以上が集まる例も

出典:ビズハンクック(2025年6月2日)、個人ブログによる商圏調査(2023年1月)、業界まとめ(2026年7月)

機材の相場も報じられています。フォトキオスクは新品で1,000万ウォン(約110万円)を超える一方、 中古は200〜300万ウォン(約22〜33万円)、急いで手放す場合は100万ウォン台(約11万円台)とされています。

出典:ビズハンクック(2025年6月2日)

「消えている」という表現について

2026年2月時点で「繁華街から潮が引くように消えている」と書いた韓国メディアもあります(CEOジャーナル 2026年2月9日)。 ただしこの記事は定性的な記述で、店舗数の統計は示していません。 数字で確かめられるのは、国税庁の廃業件数(2024年611件)までです。

使う側については、韓国消費者院(한국소비자원)の実態調査が最も詳しいです。 14〜39歳の利用経験者500人に対する調査で、実査は2023年9月20〜26日、実施はエムブレインリサーチです。

年代月平均の利用回数1回あたりの支出
10代(14〜19歳)1.8회8,006원
20代1.37회8,425원
30代0.64회9,644원
全体1.27회8,693원

出典:韓国消費者院『셀프 포토 스튜디오 서비스 관련 실태조사』(報告書2023年10月/報道資料2023年11月23日)

全体の客単価は8,693ウォン(約950円)、平均同伴人数は3.1人です。 日本の部屋貸し型のセルフ写真館(数千円〜)とは、価格の桁が違う業態が中心だと分かります。

新韓カードのビッグデータ分析でも、2023年12月〜2024年2月の文化消費項目で、10代のセルフ写真館の利用比重が67%で1位でした。 よく引用される「前年比287%増」は、正確には2022年上半期にMZ世代の写真館利用規模が2021年比で287%増えたという分析で、 セルフ写真館に限った数字かどうかは原文からは断定できません。

30店舗の実地調査で指摘されたこと

同じ韓国消費者院は、上位10社・ソウルと京畿の30店舗を実地で調べています。

  • 30店舗すべてで、現金の釣り銭が返らない
  • 全社が、決済を済ませたあとでしか撮影回数を知らせない
  • 30店舗すべてが領収書を発行しない
  • 10社中7社が偶数枚しか出力できない

出典:韓国消費者院(実地調査2023年8月28日〜9月27日、対象30店舗)

利用者の被害経験率は22.6%(500人中113人)で、内訳は機械の故障が55.8%、残額の未返還が23.0%、二重決済が12.4%。 「釣り銭が返らないことに気づいていなかった」人は81.2%、「不適切だと思う」は90.4%でした。

韓国の数字をそのまま日本に当てはめることはできません。業態の中心も、価格の桁も違います。 そのうえで、日本で無人の店やセルフ写真館を考えるときにも使える見方が3つあると思います。

  • 市場の成長と、個々の店が続くことは別。売上2.4倍の期間に廃業は3.5倍でした。市場が伸びているという話は、出店の判断材料としては半分しかありません
  • 廃業の背景として報じられているのは、商圏への集中。同じ業態が狭い範囲に並ぶと何が起きるかは、出す場所を決める前に考えておく価値があります
  • 無人の店ほど、お客様が確かめられないところが問われる。釣り銭・撮影回数・領収書の3つは、どれも店員がいれば聞けば済む話でした

次の第2回では、同じ韓国で1回5,000円以上を払ってもらっている有人型の店が、その料金の中に何を入れているのかを見ます。

この記事の調べ方

韓国語の一次情報(公的機関の報告書、韓国メディア、各社の公式サイト)を直接読んで作成しました。 取材はしていません。運営者自身も日本で無人のセルフ写真館を1店運営している同業者で、中立の立場ではありません。 数字の裏づけが取れなかった記述は本文に載せていません。

国内の数字は日本のセルフ写真館の統計に、閉店の話は閉店はなぜ起きるかにまとめています。出店を考えていて、自分の場合に当てはめて聞きたいことがあれば、LINEでのご相談も受け付けています。

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よくある質問

韓国のセルフ写真館の市場規模はどれくらい?

国税庁の課税標準ベースで、即席写真撮影機運営業の売上は2020年1,344億ウォンから2024年3,196億ウォンへ、4年で約2.4倍に増えました(2026年2月17日に韓国各紙が報道)。ただしこの業種区分は主にフォトブース型の機械運営業で、部屋を貸すスタジオ型は必ずしも含まれません。

韓国のセルフ写真館は儲かっているの?

市場全体の売上は伸びていますが、同じ国税庁データで廃業件数は2020年176件から2024年611件へ約3.5倍に増えています。市場の売上が伸びることと、個々の店が続くことは別の話として見る必要があります。

韓国のセルフ写真館の客単価は?

韓国消費者院が2023年9月に14〜39歳の利用者500人へ行った調査では、1回あたりの平均支出は8,693ウォン、月平均利用回数は1.27回でした。10代は月1.8回と最も頻度が高く、30代は0.64回です。

「セルフ写真館」という言葉は日本と韓国で同じ意味?

違います。韓国では①フォトブース型(筐体を並べる無人店)②有人セルフ型(個室でスタッフの案内を受けながら自分で撮る予約制の店)③作家撮影型(写真家が撮るがコンセプトはセルフ写真館寄り)の3つが同じ言葉で語られます。日本でいう部屋貸しのセルフ写真館は、韓国では「セルフスタジオ」「レンタルスタジオ」と呼ばれることが多いです。

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