NOTES
AIチャットボットをつけて満足!はダメ|Difyをやめてフルカスタマイズで作ってみた件
AIチャットボットは設置しただけで満足しがち。情報が古くなる・URLを渡して終わり、にならないよう、FAQ を答えの元にし、料金はその場でシミュレーター、取材はその場でフォームにした。
- 答えの元を HP の「よくある質問」と予約システムの今の料金表にした。FAQ を 1 か所直すと、ページと AI の答えが一緒に変わる
- URL を渡して終わりにしない。料金はその場でシミュレーター、取材はその場でフォーム、分からないときはその場で公式 LINE へ
- 実際に来た質問をもとにした 99 問で確かめてから出した。直近 30 日のチャットは 14 会話のうち 12 会話が営業時間の外
目次(10項目)
正直 AI チャットボットを設置しただけで満足しちゃいますよね。だけど情報が古くなったり、結局あらゆるページへの URL を渡されて終わりのような意味のない bot になりがち。
福島市で完全無人のセルフ写真館を運営しています。店にスタッフはいません。お客様の窓口は公式 LINE のトークで、今すぐ対応する窓口は置いていません。取材・掲載・営業の連絡はメールのフォームです。
その HP に、「よくある質問」のページと AI チャットがあります。AI チャットは 2025 年 5 月から置いていましたが、2026 年 11 月 2 日に、自分の運営システム「GENICA OS」の中にフルカスタマイズで作り直して置き換えました(GENICA OS のことはこちらに書いています)。
この記事は、上の 2 つの困りごと —「情報が古くなる」「URL を渡されて終わり」— に対して、当店が何をしたか・なぜか・どう確かめたかの記録です。作り方(指示文の中身・判定の条件・サービスの組み合わせ・コード)は書きません。
それまでのチャットは、外部のチャット作成サービス Dify で作っていました。置くこと自体は、2025 年の時点でできていました。やめた理由は 4 つで、どれも当店の使い方と、やりたいことの話です。
- 使っていた無料のプランでは、会話の記録が 30 日で消える。何を聞かれたかを、あとから振り返れない
- 指示文を直すたびに、外の管理画面に手で貼り直さないと反映されない
- 同じような質問に、答えが割れることがあった。壁の飾りについての質問で、ある日は「分からない」、別の日は「マスキングテープなら大丈夫」と答えていた
- 予約や料金と結びついていない。料金を聞かれても、文章で答えるしかなかった
ここが、この作り直しでいちばん長く効くところだと思っています。
HP の「よくある質問」は 72 問あります。AI チャットの答えの元は、この FAQ です。FAQ のページと同じ中身を AI 向けの文でも出していて、AI チャットはそれを読みます。だから、FAQ を 1 か所直すと、ページと AI の答えが一緒に変わります。チャットのためだけに別の答えを書き足していく形をやめたので、古くなりにくくなりました。
料金も同じです。答えの料金は、予約システムの今の料金表から読んでいます。チャットの答えと予約画面の額がずれません。

そして、チャットが答えられなかった質問は GENICA OS に記録として残ります。管理画面で「答えられなかった」だけを絞って読めるので、そこから FAQ を足します。足すと、ページも AI の答えも一緒に増えます。
FAQ のページ側でしたこと
- 答えは閉じていてもページの中に置いてある。検索エンジンや AI の検索からも全部読める(FAQ の構造化データも出している)
- 「よく開かれている質問」を上に固定し、並びは実際に開かれた回数の順にした
- 検索は表記ゆれを畳んで探す。キーワードの札は、押して 0 件にならない言葉だけにした。以前は本文に無い言葉の札があって、押すと 0 件になっていた
- 0 件のときは「AI チャットに直接きく」へつなぐ。0 件だった言葉は記録して、FAQ に足りない質問を見つける手がかりにしている
- どの質問を読んでから予約したかを、予約システムに運んでいる。予約の前に何が気になったかが分かる


つまり、FAQ・FAQ の検索・AI チャット・運営への送信が、1 本の流れになっています。FAQ に無ければ AI に聞け、AI が分からなければ運営に送れ、送られたものは記録に残り、そこから FAQ が増え、AI の答えも増える。
お客様がチャットで聞くのは、たいてい何かをする直前です。料金を聞く人は予約を考えていて、取材と言う人は連絡をしたい。答えを読んだあとに、別のページを探しに行かせたくありませんでした。お客様が困る場面ごとに、チャットの中でできることをこう決めました。
| お客様が困る場面 | チャットの中でできること |
|---|---|
| 人数と時間で料金が変わるので、自分の場合がいくらか知りたい | 答えの下に料金シミュレーターが出て、人数・時間・割引をその場で動かせる |
| 取材・掲載・営業の連絡をしたい | 用件に合わせた送信フォームが、答えの下に開いた状態で出る |
| 文章で読んでも、どこを押すのか・何があるのか分からない | リモコン・小物・入口・地図・撮影例の写真が答えに付く |
| チャットが答えられない | 「分からない」と返し、公式 LINE と「この質問を運営に送る」をすぐ下に出す |
| 当店と関係のないことを聞いた | ご案内専用だと伝える |
料金は、その場で動かせる
料金を聞かれると、答えの下に、HP の料金ページと同じ料金シミュレーターがそのまま出ます。人数と時間を変えると金額が変わります(2 名・60 分で 5,900 円、1 人あたり約 2,950 円)。料金は人数と時間で変わるので、文章で全部書くと長くなる。料金ページの URL を渡すより、動かして見るほうが早い、という判断です。

取材・営業の連絡は、その場で送れる
取材・掲載情報・営業の問い合わせだと分かったら、答えの下に、用件に合わせたフォームが開いた状態で出ます。取材なら媒体名・媒体の種類・掲載の予定。チャットから離れずに送れる作りです。送られた内容は GENICA OS の問い合わせ一覧に入り、運営に通知が届き、送った人には控えのメールが届く作りにしてあります。
お客様の質問(「営業時間は?」「店内にテレビはある?」)を取材と取り違えないよう、確かめてあります。

答えに写真を添える
「シャッターの押し方が不安です」には、リモコンのどこを押すかの写真が付きます。小物・入口・地図・撮影例も同じです。AI が選べるのは、HP に公開済みで、私が目で確かめた写真だけ(21 枚)。撮影例は、新しく載せた写真から出します。無人の店なので、来店してから聞ける人がいません。来る前に写真で見ておけるようにしています。

答えの元は、HP の公開ページ(よくある質問・料金・使い方など)と、予約システムの料金表だけです。そこに無いことは推測で答えません。分からないときは決まった 1 文を返し、すぐ下に「公式 LINE で聞く」と「この質問を運営に送る」が出ます。ここでも、LINE の URL を渡して終わりではなく、その場で押せるようにしてあります。当店に関係のない質問(「3 たす 3 は?」)には、ご案内専用だと返します。
無人店で AI がそれっぽく外した答えを返すのが、いちばんまずいと考えています。店に人がいれば、その場で訂正できる。当店にはそれが無いので、外すくらいなら「分からない」と言って、人につなぐほうがよい、という判断です。
実際にあった例を書いておきます。作り直す前の評価で、FAQ の「鏡に全身は写りません」を取り違えて、「全身は撮れません」と答えていたのを見つけました。今は根拠が無いので、公式 LINE を案内します。


作り直したものを、そのまま本番に置いてはいません。前のチャットに残っていた会話の題名 113 件(2025 年 12 月から)と、直近 30 日の質問 28 問をもとに、99 問の評価を作り、本物の AI に流して確かめました。検証のコードは AI のコーディング支援に書いてもらい、何を聞くか・何が正解か・結果の読み取りは私がやりました。
最新の指示文で、機械で確かめた 86 問のうち 85 問が合格しました。残り 1 問は、答えではなく判定の条件のほうの誤りでした。見つけて直した例です。
- 「数字のバルーンは置いてある?」「ダンスの動画は撮れる?」が「分からない」になっていた
- 「セミナー用の写真を撮りたい」を、関係のない質問として突き放していた
- 上に書いた「全身は撮れません」
どれも、実際に来た質問から作った評価でないと見つからないものでした。
運営システムを切り替えた 2026 年 9 月 26 日から 11 月 1 日までの 37 日で、「よくある質問」を開いた人は 72 人、質問を開いた回数は 567 回。1 人あたり約 10 回です。いちばん開かれたのは「データ(画像)の受け取り方法は?」で 28 人でした。開店から 1 年で、写真の受け取りの問い合わせはフォームだけで 24 件来ていたので(無人店舗の課題は機械より人)、その疑問が FAQ で済んでいるように見えます。
AI チャットは、前のチャットの直近 30 日の記録で、実質 14 会話・28 問。14 会話のうち 12 会話が営業時間の外で、深夜 0 時台が 7 会話でした。中身はほぼ予約前・撮影前の疑問です。人が答える窓口だったら、ほとんどの質問に翌日まで答えられません。無人店に AI チャットを置く理由は、私にとってはこの数字です。だからこそ、置いただけで終わらせたくありませんでした。
チャットの使い心地は、世の中の AI チャットの研究を調べて取り入れました。調べた先は、Nielsen Norman Group(使いやすさの研究機関)の AI チャットの記事や、Vercel の AI 部品の公式ドキュメントなどです。
- 送った質問を画面の上に置き、答えが伸びても下へ引っぱらない。読んでいる場所を奪わない(NN/g の観察)
- 答えている間は、送信ボタンが「止める」ボタンに変わる
- 答えのあとに「ほかによく聞かれること」を 3 つ出す
- 写真はその場で大きく開き、閉じても会話が残る
- 日本語の変換を確定する Enter で送らない
最初に出す 5 つの質問は、実際に聞かれた質問から選びました(受け取り・小物・シャッター・AI 背景合成・ペット)。サイトを読めば分かる質問(予約方法・料金)のボタンは置いていません。以前、同じようなボタンを置いたとき、3 週間で 0 回しか押されなかったからです。

見た目は、白黒のトップページと同じにしました。AI の印は、形を変えながら息をする墨の玉で、待つ・考える・書く・書き終えたで動きが変わります。きらきらの星や紫の光は使っていません。AI を連想させるものにしたい、でも当店の白黒の見た目は崩したくない。その両立です。トップの画面下の帯は、「AI に質問」と「LINE で予約」の半々にしました。

- モデルは Anthropic の Claude Haiku 5.5(小さく速いモデル)。いくつか比べて決めました
- 費用は、実測から月 15 円ほどの見込みです(月 14 会話・1 会話 2 問の想定。評価の 99 問で約 9 円)
- 最初の文字が出るまで、中央値で 1.0〜1.5 秒
- 会話は GENICA OS に 1 年残ります
- プライバシーポリシーに AI チャットの節を足しました。入力は Anthropic に送られ、学習には使われないこと、当店で 1 年保存すること、名前や連絡先は入力しないでほしいこと
- 取材・営業のフォームは、本番の画面で送信までは確かめていません(作りとしては届くようにしてあります)
- iPhone の実機で、キーボードが入力欄を隠さないかは、まだ確かめていません
- 14 会話・28 問は規模が小さく、営業時間の外の割合はこの先変わるかもしれません
- 作り直したチャットは 11 月 2 日からなので、置き換え後の会話の数字はまだありません。本文の 30 日の数字は、前のチャットのものです
- 99 問の評価は、実際に来た質問から作ったとはいえ、私が正解を決めています。お客様が「役に立った」と思うかは、これから「役に立った/立たなかった」の記録で見ます
作り方(指示文の中身・判定の条件・サービスの組み合わせ・コード)は、ここでは書きません。無いのなら、作ってしまえ、AI で。この記事はその途中経過です。
同じようなことを考えている方は、LINE で気軽にどうぞ。聞かれたら話します。
よくある質問
AI チャットボットの情報が古くなるのを、どう防いでいますか?
当店は HP の「よくある質問」を AI チャットの答えの元にしているので、FAQ を 1 か所直すとページと AI の答えが一緒に変わります。料金は予約システムの今の料金表から読みます。答えられなかった質問は記録に残るので、そこから FAQ を足しています。
AI チャットが間違った答えを返すのが心配です。どう防いでいますか?
答えの元を HP の公開ページと予約システムの料金表だけにして、そこに無いことは「分からない」と返し、その場で公式 LINE につなぎます。出す前に、実際に来た質問をもとにした 99 問で確かめました。
無人店舗の HP に AI チャットを置くと、問い合わせは減りますか?
当店では、前後を比べたデータが無いので「減った」とは言えません。分かっているのは、直近 30 日のチャット 14 会話のうち 12 会話が営業時間の外だったことと、FAQ でいちばん開かれている質問が、以前フォームに 24 件来ていた「写真の受け取り方」だったことです。
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