NOTES
ARグラスをつなぐとイヤホンの音が奪われる — 犯人はLE Audioではなかった
Galaxy S25 UltraにXreal Oneをつなぐと、EarFunで聴いていた音がグラスのスピーカーに移って戻らない。LE AudioをOFFにすれば直りますが、今度は遅延が増えてライブ映像の口の動きとズレます。犯人はLE Audioではなくメディア出力先の「後勝ち」でした。LE Audioとは何か、A2DPと何が違うのかもあわせて、実測ログから解説します。
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ARグラスというと「未来のデバイス」みたいな話になりがちですが、私の使い方はもっと地味です。移動中に画面を増やす道具として、ほぼ毎回この2通りで使っています。
- 新幹線でMacBook Airにつなぐ。グラス側に大きな画面が出るので、狭い座席でもClaudeとVivaldiを並べて作業できる。 膝の上の13インチに全部を詰め込まなくてよくなる
- Galaxy S25 Ultraにつないでライブ配信を観る。学マスのライブストリーミングなどを、仰向けに寝ながら観られるのが想像以上に楽。 スマホを顔の上で支えなくていい
どちらも音はワイヤレスイヤホン(EarFun Air Pro 4+)で聴きます。 つまりスマホ・ARグラス・イヤホンの3つが同時に繋がっている状態が常態で、 この記事はそこで起きる音の問題の話です。
なお、MacBook Airにつないだときは別の困りごとが起きます。 グラスに映した内容が本体のパネルにもそのまま出るので、 新幹線だと隣の席から作業内容が丸見えになる。そちらは別記事(ARグラスを使うとMacの画面が隣から丸見えになる)に分けて書きました。
イヤホンで音楽を聴いている状態でXreal Oneを挿すと、音がイヤホンからグラスの内蔵スピーカーに移り、そのまま戻ってこない。 新幹線や電車の中だとそのまま音漏れになるので、これは実害があります。
回避策自体は見つけていました。設定を開いてイヤホンのLE AudioをOFFにし、 「オーディオ」をONにし直すと音が戻ります。実際これで戻るので、 毎回この往復を手でやっていました。
ところが、これはこれで困る。LE Audioを切ると遅延が増えて、口の動きと音がずれるのです。 ライブ配信を観るときにこれは相当な違和感で、我慢して観られるものではありませんでした。 「音は戻ったが、代わりにズレる」という状態です。
音を低遅延のまま(LE Audioを切らずに)イヤホンから出したい。 しかも毎回の手作業なしで。この記事は、それを実現するまでに見当違いのアプリを1本完成させた記録です。
この記事に出てくる3点です。すべて自分で買って日常的に使っているものです。
ARグラスはXreal Oneを使っています。USB-C有線接続で、 スマホやMacからは外部ディスプレイ兼USBオーディオデバイスとして見えます。 この「オーディオデバイスとしても認識される」ところが、後で効いてきます。
ここから技術編です。まず前提として、LE Audioが何なのかを整理しておきます。 日本語の情報がまだ少なく、私自身も調べながら理解した部分です。
ひとことで言うと、LE Audioは従来のBluetoothオーディオとは別系統の新しい仕組みです。 「Bluetoothの新バージョン」ではなく、通信の土台からコーデックまで作り直されています。
| 従来(A2DP) | LE Audio | |
|---|---|---|
| 通信の土台 | Classic Bluetooth(BR/EDR) | Bluetooth Low Energy |
| コーデック | SBC・AAC・aptX・LDAC など | LC3 |
| 遅延 | 大きめ(映像とずれやすい) | 小さい |
| 通話中の音質 | 落ちる(HFPに切り替わる) | 落ちない |
| 消費電力 | 多い | 少ない |
| 複数人で同じ音を聴く | 不可 | 可能(Auracast) |
実用上いちばん体感できるのは遅延です。 私がテレビにまでLE Audioトランスミッターを付けているのはこれが理由で、 口の動きと音のズレが気にならなくなります。ライブ配信を観るときも同じです。
実際にAndroidの内部状態を見ると、同じイヤホンでも接続方式によって 扱いが変わっているのが分かります。従来接続ではbt_a2dpとして、LE Audio接続ではble_headsetとして認識され、コーデックもLC3と表示されます。 Bluetoothの接続種別も、従来はBR/EDR、 LE AudioではLEで繋がっていました(実機で確認)。
使うには「両方が対応していること」が要る
LE Audioはスマホ側とイヤホン側の両方が対応していないと使えません。 そして対応機種はまだ多くありません。Androidではデバイスごとに設定画面でON/OFFできるようになっていて、 Galaxyの場合は「設定 → 接続 → Bluetooth → 対象機器の歯車」の中にスイッチがあります。
ここで一点、後の話につながる仕様があります。同じ画面には 「LE Audio」と「オーディオ(従来接続)」のスイッチが並んでいて、この2つは排他です。LE AudioをONにすると従来接続は自動でOFFになり、 LE AudioをOFFにしても従来接続は自動では戻りません。 この非対称さが、私を勘違いさせることになります。
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